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発掘調査|詳細

情報更新日:2017.02.16

電電公社合宿舎遺跡 (登載番号 B-01-295)

でんでんこうしゃがっしゅくしゃいせき

調査期間
2016年05月09日から2016年09月09日
調査事由
開発事業(道路)
調査地
函館市臼尻町353番地他
調査主体
函館市教育委員会
調査面積
1,200㎡
時期
縄文時代早期・後期

調査の概要

 遺跡は,ちょうど臼尻町の弁天岬のある標高約39.0~40.0mの海岸段丘上にあります。縄文前期以降の遺物包含層(Ⅲ層)と駒ヶ岳火山灰(Ⅳ層)の下にある早期の遺物包含層(Ⅴ層)を発掘調査しました。


特徴的な遺構

 【Ⅲ層の調査】
 確認した遺構は,竪穴住居跡1軒,土坑3基,柱穴状土坑5基です。竪穴住居跡は,調査区西側の標高40.0mに立地しています。竪穴の1/2ほどが今回の調査区外に広がっているため,全体像は不明ですが,方形の石囲いで長軸の北東側の一辺に大型礫1個を配置している炉が確認されました。また,炉から60㎝ほど離れた北東側にも,大型礫1個があり長軸上に縦に配置されています。昨年度の調査においても1対の大型礫が炉の長軸上に設置されており,炉を構成する礫以外の大型礫のあり方が興味深いです。構築時期は,住居の形態や床面出土の土器から縄文後期前半のものと判断されます。土坑は3基確認され,平面形は楕円形のものが1基,円形のものが2基です。柱穴状土坑5基の深さは0.4m~0.7mで,規則的な配列は見られませんでした。
 遺物は,縄文後期前半を主体とする土器が約1,700点,石鏃,石槍,スクレイパー,石斧,敲石,擦石などの石器類が約1,100点出土しています。
 【Ⅴ層の調査】
 確認した遺構は,竪穴住居跡が1軒,土坑53基,焼土8か所,剥片集中3か所です。竪穴住居跡は,調査区西端中央の縁に約1/3が検出されましたが,全体像は2/3が調査区外に広がっているため不明です。検出した壁面には小穴が巡っています。構築時期は床面直上で出土した土器から,縄文早期後半のものと判断されます。土坑は,調査区中央の南側に集中して見つかりました。平面形は円形,楕円形,長楕円形,隅丸方形の4形態が確認されています。

  • Ⅲ層調査 竪穴住居跡

  • Ⅴ層調査 竪穴住居跡


主な遺物

 遺物は土器約3,100点出土しており,縄文早期後半の撚糸文系が主体です。石器は,石鏃,つまみ付ナイフ,スクレイパーなどの剥片石器,敲石,擦石,石錘などの礫石器類が約1,400点出土しています。


刊行書名
『函館市 電電公社合宿舎遺跡』財団報告書第1輯

一般財団法人

道南歴史文化振興財団

〒041-1613 北海道函館市臼尻町603-1
TEL.0138-25-5510/FAX.0138-25-5606

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